フォーラム・セミナー実施報告 子どもの心と学び支援フォーラム・セミナー

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子どもの心と学び支援セミナー
「人間関係づくりの基本 −つながる場・認められる場・役立つ場− 」

講師
神山 貴弥 先生(同志社大学・教授)
日時
2010年1月9日(土)
14時〜16時
場所
広島大学教育学部 第三・四会議室(管理棟2階)
参加人数
参加者77名(現職42名・学生33名・その他2名)

異年齢交流について,理論的な面と実践的な面から説明された。
まず異年齢交流を支える理論として,マズローの欲求階層説が紹介された。
社会的欲求には交流欲求,承認欲求,影響力欲求の三つがあり,これらの基盤となっているものが生理的欲求と安全・安定の欲求である。つまり,人と関わろうとする意欲は食事や睡眠が確保された上で,身の安全や心の安定がはかられていないと起こらないことが指摘された。 異年齢交流が必要な理由については,仲間関係が同年齢化,同姓化していることが挙げられた。また他者意識が希薄化していることや,窮屈な集団の凝集性などが理由として挙げられた。
交流の内容については,年上の子どもの活躍が見込める内容かどうかと,活躍によって年下の子どもに肯定的な感情が生まれる否かが重要であると述べられた。また集団の成長にはリレーションの確立とルールの確立が重要であると指摘された。
参加者が多い中で,グループディスカッションを交えながら進められた。講演自体が参加者同士の交流のもと成り立っており,講演のテーマである「異年齢交流」を実体験させるような形であった。教員自身が,望ましい交流のできる人間であることが大切だと感じられた。本セミナーは,現職教員や教職志望の学生に向けた教育内容・方法の中の「集団的アプローチ」に反映させることができる。

子どもの心と学び支援セミナー
「算数文章題解決へ向けての学習援助」

講師
多鹿 秀継 先生(神戸親和女子大学・教授)
日時
2009年11月3日(火)
14時〜16時
場所
広島大学教育学部 第一会議室(管理棟2階)
参加人数
参加者77名(現職32名・学生43名・その他2名)

「どうすれば,子どもは算数文章題を適切に解くことができるようになるのか」というテーマを柱に,認知心理学的基礎知識も交えながらお話いただいた。その中で,算数の文章題解決に影響を与える要因(問題のタイプ,先行知識,指導法)や解決の過程(下位過程としての理解過程,解決過程など)を理解することが,算数文章題解決への援助をする上で大切であることが指摘された。
また,算数文章題解決の過程として,問題の理解過程(変換過程,統合過程に分かれる),問題の解決過程(プラン化過程,実行過程に分かれる)メタ認知の活性化があることが示され,実践研究の結果から統合過程において困難を生じる可能性が他の過程より大きいことが示された。そのため,算数文章題解決への援助として,問題の統合過程に焦点を当てた指導・援助を行うことが重要であり,子どもの先行知識を利用しながら授業などで算数・数学の宣言的知識を獲得させる,スキーマの形成といったことが重要となるとの指摘がなされた。具体的な支援の方法として,線分図や関係図といった図を自己生成させることなどの学習方略を利用すること,また自己説明や自己質問といったメタ認知方略を利用することが挙げられた。

今後の事業への反映

参加者の感想として,「メタ認知やワーキングメモリーなど、今まで難しいと思っていた専門用語等も丁寧に分かりやすく説明していただいて役に立った」といった感想が多く見られ,具体例を交えながらの分かりやすいご講義・お話により,今回のセミナーが算数文章題解決にかかる理論に対する理解を深める場となったことが示唆された。
その一方で,「理論が多かったので、もう少し実践的な話を聞きたかった」といった感想もみられ,今回学んだ算数文章題解決にかかる理論を基盤として,どのように実際の支援に活かすことができるかについてより詳細な示唆を求める声も聞かれた。そのため,今後は具体的な事例などについてふれるなど,より実践的なセミナーを実施する必要があることが示唆された。

心と学び支援セミナー
「明日につながるアセスメント−WISC−IIIの結果から指導へ−」

講師
バーンズ 亀山 静子 先生
(ニューヨーク市公認スクールサイコロジスト)
米国 Putnam/Northern Westchester Board of Cooperative Education Services.
Guidance and Child Study Center
日時
2009年6月10日(水)
13時〜16時
場所
広島大学教育学部 第一会議室(管理棟2階)
参加人数
参加者75名(現職10名・学生62名・その他3名)

WISC−IIIの基本的知識の理解と,実際の事例検討を通して,アセスメントの在り方を考える勉強会となった。お招きしたバーンズ先生ご指導のもと,参加者は大学生・院生,現職教員など合わせて75名で,グループディスカッションを通して進められた。参加者は検査器具を目の前に,新鮮な眼差しで取り組んだ。そして実際に手にとることで,検査場面を想像しながら積極的に意見を交換していた。またバーンズ先生から参加者へ,多くの質問が投げかけられ,全体の場は非常に活発であった。事例を用いた検討では,検査結果を鵜呑みにするのではなく,検査結果を活用して多面的に子どものニーズを捉えることが大事だとわかった。さらに子どもの苦手な部分だけではなく,得意な部分に焦点を当てるという考えには,多くの参加者から納得の声が上がった。様々な現場で生きる,アセスメントの在り方が検討でき,有意義な勉強会となった。

WISC−IIIは,発達に困難のある子どものアセスメントに活用されている。本センターにも発達障害のある子どもが来談しており,その理解と支援方法について,学生の関心は高まっている。また学校現場でも,発達障害の対応について,役立つ知識を求める教員も多い。この勉強会で学んだアセスメントの知識は,今後様々な教育現場に生かすことができると思われる。

子どもの心と学び支援フォーラム
「心理学からの学習支援−個別的・集団的アプローチの試み−」

講師
市川 伸一 先生
(東京大学大学院教育学研究科・教授)
*最近の著書
『学ぶ意欲とスキルを育てる−いま求められている学力向上策−』小学館2004年
『「教えて考えさせる授業」を創る』図書文化社2008年
日時
2009年3月21日(土)
13時30分〜16時
場所
広島大学教育学部L205教室
参加人数
参加者114名(現職60名・学生48名・その他6名)

前半:認知カウンセリングについて

前半では,学習においてそのバランスとリンクが大切であるとされる,習得サイクルと探求サイクルの2サイクルのうち,主に習得サイクルについてご講義いただいた。授業のやり方には様々あるが,中でも習得の授業のスタンダードである「教えて考えさせる授業」に焦点を当て,基礎学力の保障についてお話いただいた。
また,個別指導の一つである認知カウンセリングについて,家庭教師との違いも踏まえてお話いただいた。認知カウンセリングでは学習者の自立という目標を達成するために,動機づけ,メタ理解,認知構造,必要知識の欠如といった観点から学習者を分析することが必要となることと,認知構造であるスキーマ,素朴概念,手続きバグについてご講義いただいた。さらに,学習動機は学習内容の重要性と学習の功利性の2次元から6つの志向に分かれており,指導者の志向と学習者の志向があまりにミスマッチだとうまくいかないことが多いものの完全に迎合する必要はないこと,学習内容を軽視した関係志向,自尊志向,報酬志向を入り口にして,学習内容を重視した充実志向,訓練志向,実用志向へ繋げていけばよいとのご教授をいただいた。
学習方略についてのお話もいただき,認知カウンセリングの分析の観点について,語の説明も含め詳細にご講義いただいた。

後半:個別学習支援の例とCOMPASSについて

後半では,まず,参加者それぞれの学習指導に関する考えや教え方を出し合う討論の材料として,学習指導場面を写したビデオを見た後,参加者同士でディスカッションを行った。その上で,自己診断,仮想的教示,診断的質問,図式的説明,比喩的説明,教訓帰納といった個別学習指導の基本的技法についてご講義いただき,例えば語の意味が分からない場合には教科書の索引を引かせるなど,学習者の自立を促すとはどういうことなのか,その意義と重要性についてお話いただいた。
また,学習支援の実例を挙げ,認知カウンセリングで明らかとなった学習上の問題点を診断できるテストとして開発されたCOMPASSについてお話いただいた。COMPASSにおいて測られる数学的問題解決の流れとコンポーネントについて,また,数学の領域とコンポーネントについてのご講義を踏まえて従来の学力テストとの違いについてお話いただいた。
最後に,COMPASSに関連した学習要素の育成をはかった指導例についてもお話いただき,COMPASSをただ実施するのではなく,学習指導において活用するという観点における有用性についてもお話いただいた。

今後の事業への反映

参加者の感想として,「参考になった」・「ためになった」といった感想が最も多く見られ,また,「ケースと結びつけながら聴講することができた」といった感想もあったことから,ビデオによる具体例の提示をふまえたご講義・お話により,今回のセミナーが認知カウンセリング・個別学習支援についての理解や具体的方略について深める場となったことが示唆された。
その一方で,本セミナーにて取り扱われた具体例が主に数学におけるものであったため,「(数学以外の)他の教科の具体的な例もお聞きしたかった」といった感想も見られた。今後,数学以外の個別学習支援の具体例や方略についてもあわせて取り扱っていくことで,より充実したセミナーとなると考えられる。

心と学び支援セミナー
「ラボラトリー方式の体験学習による人間関係づくり」

講師
中村 和彦 先生
(南山大学人間関係研究センター・准教授)
日時
2009年2月15日(日)
10時〜12時30分
14時〜17時
場所
広島大学教育学部 第一会議室(管理棟2階)
参加人数
29名(現職13名・学生16名)

実施したセミナーの効果

本セミナーを通して,まず,参加者は,ラボラトリー方式の体験学習の特徴や学び方を講義と実習を通して学んだ。つまり,人は他者とのかかわりの中で,かかわりの中身(コンテンツ)に注目をしがちであるが,そのかかわりの中で,今まさに起こっていること(プロセス)に着目することによって,自分や他者,そしてグループに対する気づきができることを学んだ。グループプロセスにおける,グループ内の他のメンバーの言動や様子を振り返り,その言動がグループや自分自身に与えた影響を考え,お互いにそれをフィードバックし合うことで,人とかかわることの心地よさを体得し,今後の人間関係のあり方を考える大きな契機となった。セミナー実施後に実施した参加者アンケートでも,5段階評定でセミナーの内容に対する満足度4.7,わかりやすさ4.6,役立ち感4.7と,いずれも非常に高い評価を得た。

今後の事業への反映

本セミナーの内容は,開発的な生徒指導・教育相談に活かすことができる内容のものであり,本事業で進めている教職志望の一般学生向け,心と学び支援に関する基礎的実践力の育成するための教育内容・方法の中の「対人関係支援(集団的アプローチ)」に反映させることができる。

心と学び支援セミナー「品性・品格の育み方」
−学校と家庭で品性・品格を育むには−
−真の勇気とは何か−

講師
カレン・ボーリン先生(Karen Bohlin)
(ボストン大学人格倫理向上センター所長、モントローズ・スクール校長)
バーニス・ラーナー先生(Bernice Lerner)
(ボストン大学人格倫理向上センター上級研究員)
日時
2009年1月9日(金)
14時30分〜17時
場所
広島大学教育学部 第一会議室(管理棟2階)
参加人数
参加者20名(現職8名・学生11名・その他1名)

アメリカの教育が良くなったと言われます。前ブッシュ大統領の時代に始まったアメリカの教育改革,その改革の一つにCharacter Education(人格教育・品格教育)があります。これは,よい行動を取れる人になれるようにする包括的な教育方法で,生徒指導,教育方法,学校経営,保護者との連携にも関わる教育です。しかしこれらは,日本ではあまり詳しく紹介されておりません。そこで今回は,アメリカの品格教育をリードしてきたボストン大学の人格教育と倫理センターの前々センター長のカレン・ボーリン先生と,前センター長のバーニス・ラーナー先生に,アメリカでの品格教育がどのように実施されているかを紹介していただきました。
カレン・ボーリン先生からは,よい精神,こころ活動を取ろうとする品格を家庭や学校で育むには次のことが大切だと話がありました。それは,一(1)具体例を示す,(2)自分の才能ではなく,存在が愛されていることを知る,(3)失敗や落胆が許される,(4)才能を伸ばせる,(5)学習する機会がある,(6)家庭や地域で責任を果たす,(7)道徳の感覚を育てる,(8)賢い選択をするようにアドバイスする,(9)コミュニケーションの力を発達させる,(10)よい品格を発達させられると希望を持たせる,です。
バーニス・ラーナー先生の話は,「勇気」について,あらゆる角度から検討し,勇気の本質を考えるお話しをして下さいました。例えば,勇気ある人とはどんな人でしょうか?危険なことやる人?恐怖に打ち勝つ行動をする人?人のやらない軽率な行為に走る人?腰抜けでない人?勇気を考えるとき,美徳と悪徳という,一直線上の矢印の上で考えると,わかりやすくなります。つまり悪徳に偏らない,利他主義,無私無欲,寛大さなどをも伴う行動が真の「勇気」であるとのお話でした。
通訳があったとはいえ,英語の講演は少し難解でした。しかし,「品性・品格を高める教育が進歩する・広まる事を希望している」「さらに品格教育について追求してみたい」との感想をいただきました。

心と学び支援セミナー
「アサーションのすすめ−さわやかな自己表現−」

講師
森田 早苗 先生
(えな・カウンセリングルーム カウンセラー)
日時
2008年12月23日(火)
10時30分〜13時
場所
広島大学教育学部 第一会議室(管理棟2階)
参加人数
54名(現職37名・学生15名・その他2名)

午前の部:「アサーションとは」,グループディスカッション(10:30〜11:55)

午前の部の前半では,はじめに,「アサーションとは何か」ということについてご講義いただいた。その中で,人には,自分のことはいつも後回しにして相手を優先する「ノン・アサーティブ」な人,自分を優先して相手を軽視したり無視したりする「攻撃的」な人,自分のことを優先するが相手のことも十分考慮する「アサーティブ」な人がいることが,ある状況に対する受け取り方や発言の具体例から示された。また,日本の文化的側面から,日本人にはノン・アサーティブな人が多いことが指摘されたが,必要な主張をせずに溜め込んでしまうことで,一気に爆発してしまったり,うつ状態になってしまう危険性が示唆された。
午前の部の後半では,グループに分かれてアサーション・チェックリストの項目について話し合い,日常場面ではどんな行動が攻撃的なのか,アサーティブなのかという意識の共有を行った。

午後の部:アサーションにまつわる権利・認知(12:05〜13:00)

午後の部の前半では,午前の部の内容を踏まえて参加者から質問が出された。質問に関連して,アサーションに関する認知と権利についてのお話があった。その中で,日本の文化的側面から,日本人は義務と権利を表裏一体ととらえがちであり,自分自身の権利に対する意識が低いが,基本的人権には義務は関係ないこと,大人がモデルとして人権を大事にしていないと,子どもは人権を大事にできないことが指摘された。そして,子どもにも人格があり,相手の行動について判断したり感じ取ったりしているので,大人だからと不当な行動をしていれば分かるとの指摘がなされた。また,自己表現や自己主張はあくまでも「してもいい」のであり,しないことを能動的に(納得して)判断したならば「しなくてもいい」のだとのお話があった。
午後の部の後半では,アサーションにまつわる認知(ABC理論)についてご講義いただいた。その中で,ある出来事に対してノン・アサーティブであったり攻撃的であったりといった行動や感情を抱くとき,そこには合理的でない考え方(非合理的思い込み)が存在するという指摘がなされ,非合理的思い込みを合理的な思考にチェンジすることで,アサーティブな行動や思考をすることができるということが示唆された。また,参加者(学校教員)から出された質問・意見への回答として,いきなりアサーティブになろうと思っても,考え方を変えるのは難しいので失敗してしまうことも多いが,失敗してしまったらもう一度やり直せばいいとのお話があり,教師も失敗して良く,失敗を生かして成功へつなげる姿を見せることも大切なので,自分らしい先生になって欲しいとのメッセージで締めくくられた。

今後の事業への反映

参加者の感想として,「具体的で分かりやすかった」といった感想が最も多く見られ,具体例を多く交えたご講義・お話により,今回のセミナーがアサーションについての具体的なイメージや理解を深める場となったことが示唆された。その一方で,「ロールプレイ形式でのさわやかな自己主張の演習などをしたかった」や「トレーニングを含んだ研修と考えていたので,少し物足りなかった」,「1回だけでなく,2回・3回と次のレベルについても学べるようなものにしていただけると嬉しい」といった感想も多く見られ,今回学んだアサーションの基礎を踏まえて,演習などを含めた形式でのより発展的で実践的なセミナーを実施する必要性が示唆された。

心と学び支援セミナー
「ピア・サポート入門」

講師
トレーバー コール (Trevor Cole)
(元ビクトリア大学教授)
日時
2008年10月30日(木)
13時〜17時30分
場所
広島大学教育学部 第一会議室
参加人数
46名(現職2名・大学教員3名・学生41名)

前半は,ピア・サポートの起源や理念をもとに,ピア・サポートとはどのような活動であるのかについて講義を行った。「多くの子どもたちは,何か困ったことがある時に友人に相談することが多い」という実態から,コミュニケーションのスキルを学ばせることにより,子どもたちが自分たちで問題を解決していくための枠組みを作り,学校を居心地のよい環境にしくことの必要性などが示された。
後半は,ピア・カウンセラーを養成するためのワークショップを行った。実際にロールプレイを行うことで,無視されることの心地悪さや,受容・共感されることの心地よさ,コミュニケーションは双方向でないと成り立たないなどを実感する参加者が多く見られた。また,これらの気づきの全体シェアや,講師によるデモンストレーションもあり,「具体的な手法もあり,たいへん良かったです。ありがとうございました。現場としては早く計画を立て取り組みたいと考えています。」など,今後につながる感想も多く見られた。

子どもの心と学び支援セミナー
「発達障害のある子どものコミュニケーション支援」

講師
石坂 郁代 先生
(福岡教育大学・教授)
日時
2008年10月18日(土)
10時〜12時半
場所
広島大学教育学部 第一会議室
参加人数
82名(現職40名・学生33名・その他9名)

はじめに,「発達障害とは何か」ということについて,(1)自閉症,アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害,(2)注意欠陥多動性障害(ADHD),(3)学習障害のそれぞれがどのように定義されており,学級でのそういった子どもの実態や得意なこと,対応と指導の基本についてご講義いただいた。その後,発達障害のある子どもの抱えるコミュニケーションの問題にふれ,そういった子どもを支援していく際には,「どうしてしたのかな」と考え理解することの重要性が指摘され,対応と指導の基本として「シンプル・クリア・ビジュアルであること」,「コミュニケーションを育てること」の2点が挙げられた。
そして,発達障害のある子どもの示す行動についての見立てや,言葉かけの良い例・良くない例,また,支援の工夫など,実例に沿って具体的にお話いただき,「具体的でとてもわかりやすいお話でした。一生懸命であってもしてはいけないことをたくさんしていたこと気づきました。」,「内容も教室の現状にぴったり合っていて分かりやすかったです。」「冷静な目・あたたかな心」「指導の前に理解あり」という言葉を大切にしていきたいと思います。」というように,今後の支援へつながる感想が多く見られた。

子どもの心と学び支援セミナー
「就学・教育相談における心理教育アセスメント」〈WISC−IIIの概要と解釈〉

講師
妹尾 藍子 先生
広島教育委員会学校教育部特別支援教育室 特別支援教育相談員
日時
2008年6月19日(木)
19時〜21時
場所
広島大学教育学部L棟304(1)
参加人数
31名(学生31名)

就学相談に関わる相談業務の概要が紹介され,これまでの相談経験から,発達障害の可能性のある子どもの保護者が子どもの就学を前に複雑な思いを抱いていること,それゆえ保護者の思いを受け止めながら,個々の事例に応じて的確に対応すること,具体的には,(1)肯定的な関係の構築,(2)保護者の認識や障害受容に応じた関わり方,(3)子どもの実態を把握し共通理解・共通認識を持って話し合いができるような情報の収集の重要性が指摘された。
後半では,WISC―IIIについての説明が行われ,実際にWISC―IIIを用いたアセスメントの事例をグループで検討していった。事例検討では,幼児児童の苦戦状況をWISC―IIIの結果をもとに解釈することで,適切な幼児児童理解につながるとともに,今後の支援方針を考えていく際に,幼児児童の特性を活かした支援につなげることができるなど,参考になったという感想が参加者から出された。

子どもの心と学び支援セミナー・フォーラム
「心と学び支援とアセスメント」

午前の部:教室での見立て/午後の部:心と学び支援のためのアセスメント

講師
バーンズ 亀山 静子 先生
(ニューヨーク市公認スクールサイコロジスト)
日時
2008年2月16日(日)
午前の部:10時〜12時
午後の部:13時30分〜15時30分
場所
広島大学教育学部 第一会議室
参加人数
58名(現職18名・学生37名・その他3名)

講演内容

■午前の部「教室での見立て」

実際に教室にいる子に関して,何をポイントに見ていけばいいのか,対応の方法を見定めるために子どもの現状をどう理解・把握していけばいいのか(=アセスメント)をテーマに行われた。発達障害の特性を確認するとともに,子どもの学習面や情緒面での教育的ニーズを把握するためには日常の観察が重要であり,その時必要とされる指導者側の柔軟性について解説を受けた。子どものニーズが多様化する教室において教師に求められるものとしては,(1)「教師の仕事」の概念転換(=「教える」から「子どもの学習を支援する」へ),(2)指導する内容や問題の本質を見極める力(=正確な見立て),(3)指導を効果的にするための柔軟な考え方(=問題解決能力を発揮),が示された。支援の方法については,「目標の設定」と「フィードバック」の必要性が解説され,実際にケーススタディーを使いながら,各自の現場で応用できるよう進められた。固定観念から抜け出してどのようにその子の特性を見極めるか,そしてそれをどのように指導に活かしていくかを,ワークシートを活用したりグループでいろいろな視点を出し合い検討するプロセスから学んでいった。

■午後の部「心と学び支援アセスメント」

子どもの問題行動場面としては,学習面,行動面,社会性・対人関係があるが,その子の問題行動はいったい誰にとっての問題なのだろうか。その子にとっての問題ではなく,教師にとって都合が悪いことが問題行動として捉えられていることはないだろうか。このように,「子どもの問題行動を子ども自身の問題ではなく教師の指導上の問題と考えることで,自らの対応を見直し支援していくことができる」という視点から,事例をもとに問題状況の理解を深めていくとともに,指導者としてどのような支援ができるのか解説を受けながら検討していった。講義では,「LDの子どもたちを支援する先生方へのヒント」として,ある小学校のLDの子どもの声が紹介され,子ども理解を深めていった。ワークでは,全体討議の中では,うまくいかない場合,学習状況や問題行動の情報収集,今までにとった対応策とその結果,指導目標について十分に検討することの重要性や,一般的な方法が上手く機能しない場合に,No(どうにもならない)ではなく,Try other way(他のやり方で)という視点をもち,他の方法や可能性について検討することの重要性がクローズアップされた。

今後の事業への反映

学び支援を中心に学んでいる学生は学習支援の仕方の工夫によって問題解決を図ろうとし,心理支援を中心に学んでいる学生は発達支援の観点から問題解決を図ろうとする傾向が見られた。子どもの問題は,学力向上と心の教育どちらかではなく相互に影響していることから,両面から子どもを理解していくことが必要となる。そのため,ワークはさまざまな専攻の学生や教師等による参加者で構成され,受講した感想として,アセスメントの重要性や新たな視点の気づきがあげられた。今後は,参加した学生や教師が学びと心の両側面からの支援を統合的に展開するための力量形成を可能にするプログラムを開発する重要性が示唆された。また,No(どうにもならない)ではなく,Try other way(他のやり方で)という視点が参加者全体で共有されたことの意義は大きいが,参加者の中には,今後学んだ知識や技術をどのように活用していけばいいのか,という者も少なくなく,実際にother way のレパートリーを増やすには,参加者が体験・経験し,知識や技術の定着や活用を実感できるような内容もプログラムに取り入れていく必要性が示唆された。

第3回心と学び支援セミナー
「学校現場におけるソーシャル教育の実際」

講師
相川 充 先生
(東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科・教授)
日時
2008年1月27日(日)
講義と講習:10時〜12時
講義と演習:13時30分〜15時30分
場所
広島大学教育学部L102・L104講義室
参加人数
76名(現職21名・学生44名・その他11名)

子どもたちの学校不適応行動を予防し,良好な人間関係を開発するという視点から,学校現場においてもソーシャルスキル教育が注目され,実践されるようになってきた。そこで,本セミナーでは,まずソーシャルスキル教育の理論的背景について講義を受けた上で,学校現場におけるソーシャル教育の具体的な進め方について演習を通して解説を受けた。

第2回心と学び支援セミナー
「品性・品格を育む生徒指導:Character Educationの理論と実際」

講師
青木 多寿子 先生
広島大学大学院教育学研究科・准教授
日時
2007年10月20日(土)14時〜16時
場所
広島大学教育学研究科L104講義室
参加人数
20名(現職14名・学生1名・その他5名)

子ども達が賢い責任ある選択をし,規範意識を持って思考し,行動する習慣を身につけさせようとする包括的な教育で,生徒指導,道徳教育,学校経営,保護者との連携にも関わるものです。この講演では人格の完成を目指すCharacter educationこの理論的背景と実践例を紹介しました。

第1回心と学び支援セミナー
「学習支援の実際」

講師
岡 直樹
(広島大学大学院教育学研究科附属教育実践総合センター・教授)
日時
2007年6月2日(土)14時〜16時
場所
広島大学教育学部第一会議室
参加人数
43名(現職32名・学生10名・その他1名)

本セミナーでは,わからない,やる気がないなどの学習面での様々な問題のある児童・生徒への支援として認知カウンセリングをとりあげた。そして,認知構造の理解,忘れにくい学習,学習意欲,図の利用,教訓帰納,学習方法などの観点から,認知カウンセリングの実際についてケースを紹介しながら解説した。

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